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アメリカのティラーソン国務長官とロシアのラブロフ外相は12日、モスクワでアメリカがロシアの支援するシリアのアサド政権の軍事施設に対してミサイル攻撃を実施したあと初めてとなる会談に臨みました。

ティラーソン長官は、外相会談に続いてクレムリンプーチン大統領とも2時間余りにわたって会談を行いました。

このあと両外相は共同会見を行い、アメリカ軍によるシリアのアサド政権への攻撃をめぐって、ティラーソン長官は「アサド政権が化学兵器を使用した根拠がある」と述べ、攻撃の正当性を改めて主張したのに対し、ラブロフ外相は「確信に満ちた言葉ではなく、実際に存在する証拠を示してほしい」と述べ、OPCW=化学兵器禁止機関による中立的な立場で綿密な調査が不可欠だとの考えを強調しました。

またシリアの内戦終結後のアサド大統領の役割をめぐって、ティラーソン長官は「アサド一族による統治は終わりに来ている。ロシアがアサドにそれを自覚させる役割があるという意見を伝えた」と述べたのに対して、ラブロフ外相はイラクリビアを例に挙げながら、「独裁者が倒されたあとにうまくいったケースを覚えていない」と述べ、アサド大統領を排除しただけでは新しい体制に移行できないと主張し、立場の違いは埋まりませんでした。

一方、冷戦後最悪と言われるほど悪化した米ロ関係について、ティラーソン長官は「低い水準にある」との認識を示し、双方は、外交当局による作業グループを設置することを決め、関係の改善に取り組む必要性では一致しました。

アメリカ軍によるシリアのアサド政権への攻撃を受けて、ロシア国防省は、シリアでアメリカ軍と偶発的な衝突を防ぐための連絡窓口の運用を停止していましたが、ラブロフ外相は、ロシア側に運用を再開する用意があることを明らかにしました。

ラブロフ外相は12日、アメリカのティラーソン国務長官との共同会見のなかで、「プーチン大統領は、アメリカ軍による空爆が過激派組織IS=イスラミックステートなどのテロ組織を対象にする場合、連絡窓口の運用を再開する用意があることを確認した」と述べました。

ロシアは、アメリカ軍によるアサド政権の攻撃を「違法だ」として非難する一方で、就任後初めてロシアを訪れたティラーソン長官に対し、シリアでのISとの戦いでは、アメリカのトランプ政権と協力していく姿勢を示す狙いがあったと見られます。

アメリカのティラーソン国務長官は、プーチン大統領とも会談を行ったことを受け、一連の会談について「生産的だった」と述べました。

しかし会談では、シリアの安定が重要だという認識で一致したものの、化学兵器の使用、アサド大統領の処遇で意見の隔たりは埋まらず、ロシアにアサド政権との関係を見直させることはできませんでした。アメリカは引き続きロシアに対し、アサド政権との関係を見直すよう対応を迫っていくと見られます。

その一方、ロシアとの関係については、ウクライナ情勢をめぐる制裁などを維持しつつも、冷戦終結後、最悪と言われる関係を脱する模索を進める方針を示しました。

アメリカとしては、ロシアと慎重に対話を進めながら、信頼関係を築けるかどうか、見極めていくものと見られます。

会談後の記者会見でラブロフ外相は「しっかりとした率直な会談だった」と述べ、冷戦後最悪とも言われる米ロ関係から脱するための一歩だったと前向きに評価しています。

また米ロ関係を悪化させたのはオバマ前政権だと指摘する一方、トランプ政権によるシリアへの軍事攻撃について厳しい批判は控え、関係改善への機運を損ねたくないという思いをうかがわせました。

プーチン大統領も2時間にわたってティラーソン長官と会談し、トランプ政権と立場の違いを乗り越え、しっかり対話していく姿勢を示しました。

ロシアは、シリアでの権益を維持しながら、シリア問題の解決に向けてトランプ政権からの協力を引き出したいという思惑があり、今後アサド政権の退陣を求める欧米からの要求には反対の立場を貫きながら、過激派組織ISなどテロ対策での協力を訴えていくものと見られます。

アメリカのティラーソン国務長官は、ロシアのラブロフ外相との会談後の共同会見で、核・ミサイル開発を進める北朝鮮による脅威についても意見を交わしたことを明らかにしたうえで、「北朝鮮の体制が方針を転換するよう、ロシアが建設的な役割を果たすことについて協議した」と述べ、北朝鮮にパイプを持つロシアに対し、北朝鮮への圧力強化に協力するよう求めたことを示唆しました。

一方、ラブロフ外相は「この問題は、ひたすら平和的な手段で解決することを目指し、結束していく必要がある」と述べて、政治的、外交的な解決を目指すべきだと主張し、北朝鮮に圧力を強めるだけでは、問題の解決につながらないとしてアメリカをけん制しました。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170413#1492081440


――アメリカでトランプ政権が誕生し、「保護主義」に対する警戒感が強まっています。

「トランプ政権の保護主義的な動き」という話をするときは、そこだけを見るのではなく、まず前提にあるものを捉えておくべきだ。「トランプ大統領」は突然出てきたわけではなく、大きな流れの中で出るべくして出てきている。

 大きな流れのひとつとして、「エレファントカーブ」といわれるグラフを見てみるといい。これは世界銀行エコノミストだったミラノビック氏が発表したものだが、1988年から2008年までの間に、世界で誰が豊かになったかを示している。グローバリゼーションの進んだこの約20年間に、先進国の富裕層は豊かになっていて彼らの富は6割くらい増えている。新興国の中間層も豊かになった。ところが、先進国の中間層は所得が伸び悩み、ないしは下がっている。

 この要因は第3次産業革命による工業化が世界に広がったことだ。当初は、日本を含むG7の国々だけが工業化に成功して豊かになった。ところが教育の普及で工業化を支える人材が新興国でも続々と生まれ、資本のグローバル化の中で、世界が工業社会化したのだ。その中で、人件費が安い新興国に、先進国中間層の雇用がシフトしたため、彼らが世界的な富の増と分配から取り残されてしまった。

 そうした大きな流れの中から出てきたのが、「トランプ大統領」であり、「ブレグジット」という現象だと捉える必要がある。

――アメリカが保護主義にシフトすることで、世界貿易や経済に大きな変化は起こると考えますか。

 これもまた、大きな流れの方が重要だ。

 そもそも、今、しきりに「保護貿易だ!」と言われているが、実はこの10年くらい、世界の貿易総量は増えておらず、輸出と輸入を足した世界の貿易総額の世界のGDPに対する比率は上がっていない。

 だから、トランプ政権の誕生前からすでに世界の貿易は増えにくくなっている。世界銀行などもスロートレードと呼んで、この現象を注視してきている。

 大きな要因は、中国の地産地消だ。中国が大消費地になり、中国から輸出するために工場を作るのではなくて、中国で売るために工場を作るという投資が増え続けている。貿易というものの質が、気が付かないうちにすでにずいぶん変わっているということだ。

 したがって、TPPについても、もちろん関税の問題もあるが、どちらかというと知的財産とか、デジタル分野といった将来に向けたところのルールづくりが本質的な部分だ。製造業を中心にみて「保護主義だ」という議論をするよりも、先進国は、知的財産やデジタル分野でのルール作りを急いでやることのほうが今は重要度が高いとも言える。

 確かに、アメリカの国境税は大きなインパクトがあるかもしれない。狙い撃ちをされるのが中国、日本、ドイツとなる可能性は高いし、これがどうなるかは、目を凝らしてみていなければならない。

 だが、「保護主義の時代がくる!」などと騒ぐ前に、そもそもグローバル貿易というのはもう伸びにくくなっていて、世界は地産地消型に移行しつつあることを落ち着いて捉えたほうがいい。そうすれば、今、悩まなければいけないことにフォーカスできる。

 メディアを騒がせる「保護主義」という見出しの表面だけに踊らされてはいけない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170413#1492081437


──グーグルの研究部門は、どういう体制でどういった研究をしているのですか?

 グーグルは様々な事業を展開しており、各分野に技術開発の担当者がいます。一般ユーザー向けの技術もあれば、広告のための技術開発も含まれます。企業規模は非常に大きく成長しましたが、私たちがやることはスタートアップ企業と同じで、社員一人一人が新しい製品を開発し、既存の製品をより良くしていくことに使命を懸けていることは変わりありません。

 会社によっては純粋な研究を行うリサーチ部門と、それを引き継いで製品化を行う開発部門が分かれている組織もあると思います。グーグルはそういう分け方をしていません。リサーチから製品化まで全てが一本化されています。

 例えば、機械翻訳音声認識はもともと研究部門のプロジェクトとしてスタートしました。実際にユーザーへ提供できる段階になった時、プロジェクトチーム内の技術者の数を増やして実際の製品化まで持っていったのですが、当初の研究者はプロトタイプから製品化まで一貫して担当していました。

──研究の初期は何らかの目的があり、研究するうちに当初と異なる製品に派生することもあるのですか?

 その通りで、非常に柔軟性あるアプローチをとっています。研究者の仕事には未来予測も織り交ぜられています。年初に自分の目的を掲げて、それに向けて研究活動を進めていきますが、途中で「こういうことをやりたい」というひらめきがあった場合には、当初考えていたことをやめて、違う方向に進めていくことがよくあります。

 グーグルの組織は、オープンであることがとても重要だと思っています。グーグル設立当初は毎週金曜日に全社員が出席する会議があり、その場で営業担当の副社長が「この案件は受注したが、こちらは失注してしまった。失注した理由は、お客様が必要としているものを我々が提供できなかったからだ」という説明も行っていました。

 会議を受けて、翌週の月曜にエンジニアが副社長のところに行き、「お客様が必要だと言っていたけれど提供できなかったものを作りました。必要だと思わなかったので我々は製品化していなかったのだけど、作っちゃったのでこれからは提供できますよ」というやり取りをよく行っていました。

──ひらめきで新しい技術を開発するというあたりは、まさに「エンジニアの会社」という印象を受けますね。

 創業者のセルゲイ・ブリンラリー・ペイジが「エンジニアリングの会社」として起業したままに、グーグルは育っています。研究部門で働いている社員は、大多数がコンピューターサイエンスの博士号を取得している人たちですが、学歴以上に全員の共通項は「何かを創っていくことに対して探究心がある」「机に座って理論をこねくり回すのではなく、実際に何かを創りだすことに興味を持っている」ということです。

 一般の企業の研究部門に比べ、グーグルでは消費者に極めて身近なところで仕事ができるし、自分の成果を即時に10億人のユーザーが使ってくれるので達成感を直接的に受けることができるのです。

 この会社はエンジニアが経営している会社だという自負がありますので、社内の全員がわれわれの仕事を理解してくれて非常に仕事がしやすい環境で働くことができると思います。これには好循環があり、優秀なエンジニアや研究者がグーグルで仕事をしたいと思うと、また優秀な人たちを惹きつけるという相乗効果をもたらしています。

──ご専門のAIについて伺います。AIは現在、第三次ブームの段階だと言われています。1940年代頃に始まった第一次AIブームの波から2000年代後半の第二の波、現在の三次の波まで何が変わったのですか?

 まず、第一のブームは、数字だけでなくコンピュータにありとあらゆることをさせようというところからスタートしました。コンピュータにロジック(理論)を与え、それをもとに判断を下させることを目指していました。

 ただ、このアプローチには二つの欠点がありました。

 一つは、コンピュータが判断を下すためには、人間であるエンジニアがルールを作成しなければいけないのですが、ルールは無数にあり、エンジニアが定義できるルールは有限なものであって、これでは事足りないという問題です。

 それから、もう一つは、この世の中は白黒はっきりしているものばかりではありません。真か偽かという二極の分け方で全てを判断することはできないという問題です。

 第二のブームは、最初のブームの間違いを正そうとする試みでした。ここでも、あくまでロジックをベースに判断を下そうとしました。ただし、修正点として、ロジックに全面的に頼るのではなく、不確実性に対処するためには確率論を導入しました。さらに、ルールを定義してそれを元に判断を下す、というよりも様々な事例を機械に与え、そこから学習させるというアプローチをとるようになりました。

 現在の第三の波では、今までのAIの手法を多く使ってはいますが、使えるデータ量が加速度的に増えたという大きな進歩があります。インターネットの普及によってあらゆるものがつながり、使用できるデータの量が莫大に増えました。コンピュータの処理速度が上がったことによってデータを使った演算も高速になりました。

──AI研究とは、人間がイメージできない未知の問題に取り組むのではなく、今あるものの精度を上げるという段階なのですか?

 そういう見方をしていただければよいと思います。まだまだ研究者がAIを向上していく余地は残されています。変化の度合い、向上のペースは速くなっていますが。

──AIは人間の想像を超えた答え・選択肢を与えてくれる存在ではないのですか?

 それよりもむしろ、もっと最適化していく存在です。人間が一人ではあるところまでの判断で限界だったとして、AIを使うことにより最適の状況を実現することを目指しています。

──SFの世界では、人間の知性を超えるAIが登場し、人類史に断裂を引き起こす「シンギュラリティ(技術的特異点)」という概念がありますが、それはどんなものだと思われますか?また、その時期が2045年だといった説もありますがどう思われますか?

 まず、シンギュラリティ自体を信じるか、信じないか。シンギュラリティが意味するのは「無限に進歩が続き、向上が永遠に右肩上がりに続く」ということを示唆しています。しかし、物事というのは進歩して改善しても、あるところにくるとどうしても横ばい状態にならざるを得ないという状況があります。永遠に無限に進歩が続くというのは、やはり無理であり、必ず限界があると私は思います。

 人によっては「インテリジェンス(知能、知性)」に対してあまりにも信頼を寄せすぎているのではないかと思います。たしかに、そもそも人類=ホモサピエンスとは、「考えるのが好きだ」という人間本来の性を表している言葉だと思うのですが、あまりにもインテリジェンスに重きを置きすぎるのはいかがなものかと思います。それだけが全てではないと私は思います。

 例えば、とても賢いコンピュータに「碁で、人間に勝て」と言ったらそれはできるかもしれません。しかし、どんなにインテリジェンスのレベルが高いコンピュータであろうと、「今の中東情勢を解決する施策を出せ」と言って何らかの答えを出したとしても、逆に人間の社会は大混乱に陥ってしまうのではないかと思います。

 人間が認識しておかなければならないのは、こういったモノは人間が使えるツールであって、われわれがやってきたことにとって代わる、完全に代替するものではないということです。

 例えば、100年前には、「カリフォルニアから日本に10時間以内に移動する手段」は不可能という結論でしたが、今や、それに関してはシンギュラリティは達成されています。でも、人間の限界を超える輸送手段は登場しましたが、人間の生き方や生活の他の側面にこれが影響を与えているわけではありません。ですからシンギュラリティについても、「特定の課題は解決するが万能ではない」という捉え方ができると思います。

――人間でないと創り出せない分野というのは残り続けるということですね?

 人間の価値というのは変わりませんし、人間の役どころは、中身は変わっても必ずあります。ただ、人間が新しいツールを使えるようになることで、仕事の内容が今とは変わることもあるかもしれませんし、仕事のやり方も変わっていくと思います。

 私自身、AIの登場によって仕事が奪われると、戦々恐々としている人々の思いは分かります。というのは、今ある仕事が失われるというのは想像に難くないのですが、今存在しない仕事がどういったかたちで出てくるのかというのは想像するのが非常に難しいことです。心配になるのもよく分かります。

 ただ、明るい考え方もできます。例えば銀行業を思い浮かべてください。昔は行員が札束を広げてお金を数えていました。しかし、今はお札を機械に入れれば自動的に計算することができます。だからといって行員数が昔と比べて減ったかというとそうではなくて、むしろ昔よりも増えています。なぜなら昔は必要なかった業務、例えばローンの信用審査など機械ができない仕事があるからです。今までなかった仕事で必要な仕事が創られたからこそ、人間の社員が必要になっているのです。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170316#1489661458
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170308#1488969583

#AI#原罪


著名投資家のウォーレン・バフェット氏はカルト的な崇拝の対象になっている。投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)の会長を務める86歳のバフェット氏は、膨大な投資リターンと処世訓、そして米国を応援し続ける姿勢によって尊敬を集めてきた。

だが、このオマハの賢人は、称賛と同じ程度に批判の対象ともなるべき人物だ。


歳月を経て、バフェット氏の輝かしい名声に少し陰りが出ている。2つの理由から、それも無理からぬ話だろう。

第1に、バークシャー時価総額は4200億ドル(約47兆9300億円)まで膨らんでいるが、これに匹敵するほど印象的な投資リターンを維持する能力がないのは、どれほどユーモアたっぷりに自嘲してみせても隠せるものではない。

バフェット氏を中心とする小人数のチームは依然として優秀かもしれないが、彼らの奇跡の日々は終わっている。

2002年の時点で、バークシャー普通株の総利回りは、過去10年間にわたって年20%だった。S&P500に比べて10.6ポイントも高い、驚くべき数字だ。ただ2016年には、その差は1.3ポイントまで縮んだ。アクティブ運用するファンドマネジャーの大半に比べてはるかによい数字だが、バフェット氏の言葉を神のお告げのように扱うには十分ではない。

第2に、投資リターンが低下する一方で、バフェット氏の偽善ぶりは増大している。彼はデリバティブ商品を「金融市場の大量破壊兵器」と呼んでいるにもかかわらず、自身はデリバティブ市場での取引を続けている。

もっと重大なのは、バークシャーが株式の27%を保有する米食品大手クラフト・ハインツ(KHC.O)のブラジル人経営者たちの焼き畑的な経営スタイルを支持していることだ。これは、長期的な視点で投資する慎重な経営者を支援するという、バークシャーが築いた長年の評判を裏切るものだ。

ただ「バフェット信仰」の最大の問題は今に始まったことではない。そもそもの最初から、彼の関心は市場を上回る投資成績をあげることに集中しており、経済にはほとんど貢献していない。金融資本主義にとってはお粗末なモデルなのだ。

金融がなぜ経済の役に立つのかをエコノミストが説明しようとする場合、彼らが強調するのは、新規資本の重要性だ。企業は新製品開発や新工場建設、あるいは新規サービス提供のために、銀行から融資された、あるいは株主が投資した資金を使うことができる。投資の主要な源泉は既存事業からの留保利益だが、金融システムは、これを補完する重要な役割を果たすとされている。

こうした説明において金融に好意的なエコノミストが対処しなければならないのは、金融市場における活動の大半は、新たな生産資本の調達にはほとんど役に立っていないという不都合な現実である。特に確立された企業の株式をめぐる取引は、経済全体にとって新たな、もしくは価値のあるものを何一つ生み出すことはない。

こうした活動は実際、投資家にとって流動性を提供しており、簡単に株を売却できるなら、ひょっとしたら投資家はもっと多くの資本を提供する気になるかもしれない。あるいは、経営陣にプレッシャーをかける外部投資家の存在は、若干の価値があるのかもしれない。

だがこれらは、ゼロサム・ゲームを称賛する理由としては、いかにも根拠薄弱である。ある投資家が市場を1ポイント上回れば、誰か別の投資家が同じ1ポイントだけ下回ってしまう。経済にとって、これでは差し引きゼロである。

バフェット氏が非常に巧みにやってきたのは、まさにこのようなゲームだ。同氏は株主向けの最新の書簡のなかで、バークシャーが株式を永遠に保有し続ける意図をもっているというのは誤解であるとして、これを一掃しようと試みているものの、彼の投資戦術は、安値で買った株を大半の場合は保有し続けるというものだ。

バフェット氏はこれまでうまくチャンスを見つけてきたし、恐らく今でもそれは変わらない。だが、同氏にとっての相対的な利益は、必然的に他の投資家の相対的な損失なのである。

バフェット氏の名誉のために言っておくならば、彼はバークシャー保有・支援する企業に圧力をかけて、可能な限り利益を搾り取るような真似はしてこなかった。同氏の不干渉主義のおかげで、他のプライベートエクイティ会社が容認する水準以上の比率で利益を投資に回すことのできた企業もあったかもしれない。

バフェット氏は25日に送付した公式書簡のなかで、バークシャーは「ドルベースの留保利益では米国企業のなかで首位」であると自慢している。昨年、彼の企業グループは約130億ドルもの資金を企業の設備投資に投じているが、それでも2015年に比べて5分の1近く減っている。

だが、バフェット氏が好むタイプの企業は、社会経済構造に恩恵をもたらすのと同じくらい、害悪をもたらす可能性がある。彼が好む企業は、価格決定力があるか、緩やかな規制のもとに置かれており、急速に変化するテクノロジーや移ろいやすい関心といった大きなリスクを取る必要のない企業である。つまり、彼が好むのは、非効率な市場で活動する効率的な企業なのだ。

その典型的な例が、クラフト・ハインツがバークシャーの手厚い支援のもとで進めたものの失敗に終わった、英蘭系日用品大手ユニリーバ(ULVR.L) (UNc.AS)買収の一件である。

買収に名乗りを上げたクラフト・ハインツは、買収価格を大幅に上回るコスト削減を予定していた。ユニリーバ―が慎重に築いてきた「開発途上国に優しく健康的な生活を支える企業」というイメージを、仮にクラフト・ハインツ側が維持したいと思っていたとしても、利益の最大の部分は投資家のポケットに入ることになっただろう。顧客は、優先リストの最下部に追いやられていくことになったはずだ。

バークシャーも、ときには新規資本を提供してきた。特にそれが顕著だったのは金融危機の時期だ。同社はゴールドマン・サックス(GS.N)や、ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)、バンク・オブ・アメリカ(BAC.N)から、法外ではないにせよ、非常に有利な条件を引き出した。

だが、後になって巨額の利益が得られたのは、米連邦準備理事会(FRB)と米国の納税者が、金融システムを自壊から救うために渋々ながら資金を出したからである。バフェット氏は米国の「経済ダイナミズム」を「奇跡的」と表現するが、彼自身は英雄的に振る舞うというよりは暴利を貪っているようにも見える。

投資家のあいだでの「バフェット信仰」は、彼が経済を支えているからではなく、市場との勝負に勝っているということに基づいている。

投資の社会的重要性が、たとえばサッカーと大差ないのであれば、こうした熱狂にも害はあるまい。しかし昨今では、成長の促進よりも内部関係者の富の蓄積に貢献するようなシステムに対して、ポピュリスト的な怒りが高まっている。もはやゲームを楽しんでいるときではない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170303#1488537956
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170227#1488192743

築地市場豊洲への移転を決断した石原元知事は3日午後、日本記者クラブで記者会見を開きました。

この中で、石原元知事は記者会見を開いた理由について、「百条委員会に呼ばれ、そこまで待てない心境だ。座して死を待つことはできません」と述べ、今月20日に証人として呼ばれる百条委員会を前に、自身の見解を明らかにしたかったという考えを示しました。

そのうえで、築地市場豊洲への移転について、「都知事に就任して早々に既定の路線であるような話を副知事から聞いた」として、最終的な決断はみずからが行ったものの、都知事就任前から豊洲への市場の移転は、おおむね決まっていたという認識を示しました。

そして、みずからの責任を問われたことに対し、「担当各局や専門家、議会の委員会も含めて論議して決めたことで任せるしかない。総意として上がってきたことを認めただけだ。私だけに責任がある訳ではない」と述べ、責任の所在は自分1人だけではなく、都の担当局や都議会にもあるという考えを示しました。

また、豊洲市場で土壌汚染が判明した際、移転についての判断を踏みとどまらなかったのかと問われたのに対し、「専門家の検討会に一任するしかなかった。確か、当時の知事本局長が裁可を上申してきて、私がどうなのかと問うと『今の技術を持ってすれば大丈夫だ』ということだった」と述べ、対策を取れば、土壌汚染の問題は解消できるという認識だったと振り返りました。

さらに、「やることをやらないで、生殺しにしてほったらかして、ランニングコストにべらぼうなお金がかかる。混迷への責任は小池知事にある」と述べ、去年11月の築地市場の移転を延期したことで、市場業者に損害が発生していることや、豊洲市場の維持管理費などがかさんでいることなどに対し、小池知事の対応を批判しました。

会見では平成23年3月、東京ガスと結んだ土地の売買契約の中で、土壌汚染対策の費用について、東京ガスの負担額の上限が78億円とされ、それ以上の負担を東京都が求めないとする協定書を交わした際、指摘されている、いわゆる瑕疵(かし)担保責任の放棄をめぐって質問が相次ぎました。

これについて、石原元知事は去年10月に小池知事から出された質問に対する文書の回答で、「判断を求められたことがないので、全くわからない」とし、土地の価格の妥当性については「ずいぶん高い買い物をしたと思うが、私に判断を求められることがなかったから、わからない」と答えていました。

会見の中で、当時の売買契約について石原元知事は「契約書に、はんこを押した覚えがない。契約内容はあとから知った。瑕疵担保責任が放棄されていたことは、東京都側から去年、質問を受けたことで知った。この問題は専門的すぎて東京ガスと交渉した担当者に任せるしかなかった」と述べ、契約の詳細な内容を知らなかったという認識を改めて示しました。

その一方で、石原元知事は3日公表した書面の中では土壌汚染対策費用の扱いについて、「売買契約以前に、東京ガスが当時の法令に従って必要な土壌汚染対策を実施済みであり、東京都はそれを検査・確認していた。その範囲を超えて、法令が要求する水準以上の安心のための土壌汚染対策については、東京都が相当程度の費用負担をすることも十分ありえることだと思う」と述べています。

記者会見では石原元知事の見解が代読されました。

この中で、石原元知事は豊洲市場への移転の経緯について、知事在任中に移転に向けた手続きが大きく進んだことは認める一方、「築地市場の操業を止めずに、現地再整備することが極めて困難で、暗礁に乗り上げたために、移転やむなしとなった。その後、私が都知事に就任して早々に、豊洲への移転は既定の路線であるような話を担当の福永副知事から聞いた」としています。

また、東京ガスとの土地取得交渉のいきさつについては、「担当だった浜渦元副知事から逐一報告は受けておらず、詳細はわからない」としていて、売買契約の中で土壌汚染対策の費用について、東京ガスの負担額の上限を78億円として、それ以上の負担を求めないとする協定書をかわしたことについても、「詳細な契約文言について法律的判断をする知見はなく、具体的な記憶はない」としています。

さらに、豊洲市場の土壌汚染対策や建物の下に盛り土が行われなかった、いきさつについては、「豊洲移転についての報告の中で、土壌汚染に言及されたことは何度もあったと思うが、基本的には日本の技術で処理可能であると説明を受けていたと認識している。建物の下に盛り土が行われなかった経緯については、何も記憶がない」としています。

石原元知事は3日昼前、報道陣が会見を前にした心境を聞いたのに対し、「果たし合いに出かける昔の侍の気持ち」と述べました。

記者会見を終えた石原元知事は報道陣が「果たし合いはどうだったか」と聞くと、「五分五分だった」と答え、そのうえで「説明はよくできました」と述べました。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170303#1488537945

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170301#1488366373

#ロン・ポール

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170301#1488366372