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論点:シリーズ憲法70年 「護憲」「改憲」--9条を考える 対談 中西寛・京都大教授、石川健治・東京大教授 - 毎日新聞

 石川 私が初めて大学で憲法の講義を受けたのが施行35年の1982年でした。それから35年ですが、憲法を取り巻く状況は変わったようで変わらない。日本の近代は「開国」以来、西欧起源の立憲主義を取り入れる流れと、日本固有の「国体」を押し出したい流れのせめぎ合いでした。しかし、第二次世界大戦後、「第二の開国」で全面的に立憲主義に帰依する憲法をつくった。そうすると今度は新しい体制から排除された人々が戦後憲法を倒そうとする。そういう構造が、35年前もあったし、今もあります。

 石川 (改憲にせよ、護憲にせよ)情念を支える実体験がない世代同士の争いになったので根が浅くなった。大阪の「森友学園」で教育勅語をあれほど軽々しく扱うというのも、右翼の根が浅くなっているからだという気がします。

 中西 石川先生とは同い年ですが、お話をうかがって共感するところと、少し違うかなと思うところがありますね。

 現行憲法は、国民主権象徴天皇制という論理的には整合性が取りにくい、制度的な部分と精神的な部分をうまくドッキングさせた。そこがとりあえず安定していたので、人権擁護と統治機構の改革を、現代的な文明に即した形で実現する役割を果たしたと思います。

 個別に見れば問題もありますが、全体としては国民の間に定着している。35年前の中曽根政権の頃にはまだ「戦前回帰」といった議論もありましたが、今は改憲について「合理的か否か」というレベルで議論する人が増えた。その意味で議論が多少は健全になったのではないかという印象を持っています。

 石川 議論の自由度が増したのは確かですね。でも、肝心の「憲法への意志」がどこにあるかと考えると暗たんたる状況です。

 石川 支える意志ですね。コンラート・ヘッセ=2=という戦後ドイツの憲法学者が、ニーチェの「権力への意志」=3=をもじって「憲法への意志が憲法の規範力を支える」と言った。日本の場合は、「憲法への意志」が、9条とその支持層に限られており、憲法の核心をなす立憲主義の本体が、それによってのみ支えられるという構造になっている。そこが35年たっても変わらなかった。他方で、いたずらに憲法を敵視する復古的な勢力だけが、依然として改憲への「意志」を持っている。この状況でもかまわないという立場を取ると、立憲主義そのものの否定に加担することになると思います。そうやって憲法の根幹を奪われてしまうことへの危機感が、「真ん中」には感じられません。もしそこに、立憲主義の敵を退ける強い「意志」を見いだせる状況ならば、9条の是非を視野に入れた、より広範な憲法論議が可能になりますが。

 中西 たとえば米国の場合、忠誠の対象は憲法で、大統領個人ではなく、憲法に基づいて選ばれた大統領だから忠誠を尽くすわけです。

 それと比べて日本では、憲法に対する愛着心が薄いということは確かに感じます。象徴天皇制国民主権を両立させた現行憲法の大枠には広い支持がある。(それなのに)憲法への国民一般の愛着心は薄い、あるいは憲法をめぐる議論にある種のシニシズム(冷笑的な態度)がつきまとう背景には、やはり9条の問題があると思います。

 9条が、政治のリアリティーにもう少し整合した形で制定されていたなら、その後の憲法論議も変わっていたのではないか。制定段階からあまりに大きな乖離(かいり)があったゆえに、その後の議論が後付けの理屈のこね回しにならざるを得なかった。それが憲法をめぐる政治論争の中心になり、石川先生のおっしゃる「憲法への意志」、あるいは愛着が薄くなった面があると感じます。

 中西 9条の問題は憲法の制定過程に結びついています。特に国連憲章ができた当時の理想主義を直接に反映している。憲法草案は1946年3月には大枠ができていた。敗戦から半年、国連憲章が署名されて9カ月です。マッカーサー連合国軍最高司令官)も、日本国民も、国連の集団安全保障が機能する、と考えていた。その時点で憲法を固めてしまったわけですが、その後、冷戦になり、米ソがそれぞれ同盟をつくって再軍備が進む流れでした。同じ敗戦国のイタリアや西ドイツは少し後に憲法をつくったので、自衛力や同盟、つまり集団的自衛権を認めるような条文になっています。

 日本も早期にイタリアや西ドイツ型に改正すればよかったと思いますが、政治的にそれができない中で、自衛隊、個別的自衛権のみ認めるという解釈になった。その過程自体が大論争でした。安保条約改定(60年)以降はそれで一応落ち着いていたのですが、冷戦終結以降は国際環境が変わり、国連の集団安全保障による武力行使、同盟における日本の軍事的役割が問われる状況になった。

 私は、安倍政権が(9条の)解釈を変えたと考えていますが、制定時から現実とかけ離れた9条については、「憲法改正がほぼ不可能」と政治が判断したなら、現実に合わせて、一定の範囲で解釈を変更することも認められるべきだと思います。

 石川 そうです。私は、安保法制以前の政府見解の変遷は、解釈改憲(条文解釈を変更し、事実上、改憲してしまったに等しい状態)だとは理解していなかった。自衛隊創設については違憲論が有力ですが、法解釈をやっている人間から言えば、政府の合憲論も導き出せないことはない。9条という規範の論理的な枠(許容範囲)の中での対立でした。

 その枠を超えた議論を持ち出し、解釈によって改憲してしまったのは今回(安保法制)が初めてです。こういう手続き(閣議決定による憲法解釈変更)で憲法の根幹を動かすことは、座視できないと考えました。

 私は「九条の会」(9条改正に反対する市民団体)のメンバーではありませんし、運動的なるものには一切関わってこなかったのですが、今回は枠を超えたと判断したので、柄にもなく出張って(マスコミなどで発言して)きたわけです。

 石川 安保法制に関しては論外だということです。確かに安全保障環境はどんどん変わる。それに対し憲法は(変化が)遅いシステムであるところに意味があると思うのです。反射的に勝負しなければならない側面と、じっくり考えなければならない側面を切り分けるためにこそ憲法があり、厳格な改正手続きがある。冷戦があり、湾岸戦争があり、その後も状況は変遷したが、同盟政策を排除する9条の規範があったおかげでアメリカに「あまり要求しないで」と言えたし、危険な状況に日本が陥らずに済んだ面があると思います。

 中西 私は9条が同盟を排除しているという考えは取りません。むしろ場合によっては同盟的なものも含んだ国際協調を実現することが、単独で自衛するよりも、外交面でも、安全保障面でもプラスになるという選択があり得ると思う。日米同盟があるからといってアメリカのやることを常に支持したり、アメリカの軍事行動に巻き込まれたりするものではない。同盟関係があるからこそ、アメリカの行動を抑制したり、自前の価値を訴えたりして世界に影響力を持つことができると思うのです。

 石川 E・H・カー=4=が「危機の二十年」で国際政治におけるユートピアニズム(理想主義)とリアリズム(現実主義)を論じています。

 石川 そうです。カーが下敷きにしているのはカール・マンハイム=5=の「イデオロギーユートピア」で、日本の(特に戦前の)憲法論ではよく参照されてきました。たとえば、国会は「全国民を代表する議員で組織する」(憲法43条)というが、全国民は永田町によって代表されているか。現実に「全国民の代表」だと捉えてしまえば、その時点で政権を握る者にとって有利なイデオロギー、現状正当化になりますが、それを「支配者がこれからめざすべき理想・ユートピア」と捉えるなら、被支配者にとって利益になる。そういう議論ですね。

 生存権憲法25条=6=も戦争放棄の9条も、そうしたユートピア(まだ実現していないもの)を制度化したものです。現実とは距離のある観念を憲法はあえて置く。ユートピアニズムが制度化された中での、より強靱(きょうじん)なリアリズム。戦後の国際政治、安全保障がめざすべきはそれであって、安易な同盟政策のリアリズムではないように思います。

 中西 9条については、それこそカーの基本的な主張である「ユートピアを語る必要はあるが、まずリアリズムから」があてはまると思います。日本国憲法に平和主義が含まれていること自体は、日本人の多くにとって誇りでしょう。ユートピアとしての価値と、現実に向き合う法規範としてのバランスをどう取るか。その議論を重ねていけば、憲法への関心も高まると期待します。

 石川 近年、ポーランドハンガリーなどで、「民主主義に自由はいらない」とか、「選挙で国民の負託を受けた以上は何でもできる」というたぐいの民主主義が勢いづいています。トルコの改憲もその流れの中にある。51%の得票率で大統領が強権を獲得し、国民の分断が進んでいます。指導者の個性の強さ、大統領権限強化という統治機構の大改革をめざした点、数は力の多数決万能主義。他山の石だと思いますね。

 中西 戦後、西側社会が誇ってきた自由民主義体制のほころびが広がり、機能の低下が見えてきた。トランプ米政権登場の背景にもそういう要素があると思います。強権への渇望が生まれやすくなっていて、トルコの場合、それをエルドアン大統領がうまく利用した。

 戦後国際秩序が制度疲労状態に陥り、ポピュリズム大衆迎合主義)が広がっています。統治能力の低下に対するいら立ちが指導者への権力集中を後押しする、という流れが勢いを増していると思います。

 中西 同感です。両院関係については、憲法制定過程を見てもきちんと詰めた議論をしているようには思えません。以前は参院が比較的、政党化されずにいた(議員の投票行動が所属政党に縛られなかった)のですが、近年は政党化が進み、ねじれ国会(両院で与野党逆転)になると、何も決まらない権力バランスになってしまっている。

 2院制をとるなら両院の役割分担をもっと明確にする。選挙制度についても、ほとんどすべてを(一般の)法律に委ねている現状は問題です。票の平等をめぐる混乱が続かぬよう、基本的な考え方を憲法に書いておくべきだと思います。

 石川 それはどうでしょうか。憲法は論理的には参院(の責任追及)による倒閣を予定しています。だからこそ、政権交代をはじめ、新しい政治の息吹は必ず参院選から出てきました。現在の両院関係は悪いことばかりではありません。他方で、「ねじれ」時代の<弱い政府>も、安保法制を力業で実現した<強すぎる政府>も、それぞれが憲法のもたらしたもので同じメダルの表と裏の関係にある。その振れ幅の大きさについては、私も問題だと思っています。

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イランでは、来月の大統領選挙を前に、立候補の受け付けが行われています。

核開発問題をめぐってアメリカなどと鋭く対立した保守強硬派のアフマディネジャド前大統領は、最高指導者ハメネイ師の言葉に従うとして、選挙に立候補しない考えを繰り返し示してきました。

ところが12日、側近のバガイ元副大統領らとともに突然、受け付け会場に姿を見せ、立候補の届け出を行いました。

これについてアフマディネジャド前大統領は「最高指導者の言葉はあくまで助言であり、私が選挙に関わることを止めてはいない」などと主張し、届け出は国民からの強い要請に基づくもので、問題はないという認識を示しました。

イランでは、失業率が悪化するなどしている国内経済への不満や、イランへの強硬路線を取るアメリカへの反発が広がっています。

こうした中で行われる大統領選挙には、穏健派のロウハニ大統領のほか、対立候補として保守強硬派が支持するライシ前検事総長らが立候補を届け出る見通しで、新たに貧困層を中心に根強い人気があるアフマディネジャド前大統領が立候補を届け出たことで、今後の選挙情勢にどのような影響を及ぼすのか注目されます。

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トランプ米大統領連邦政府の構造全体の抜本的見直しを求める大統領覚書に署名する。将来的に、政府職員数の縮小や多くの省庁の基本的機能と責任の変更につながる可能性がある。

  大統領権限によって出される同覚書は13日に発効する。トランプ大統領の就任初日に発令された連邦政府職員の全面的な採用凍結を解除し、政府が3月に示した歳出の優先順位に沿った目標採用数に置き換えることも定める。マルバニー行政管理予算局(OMB)局長が明らかにした。

  マルバニー局長は今回の動きについて、連邦政府の「問題を一掃」し、不効率性をなくすとしたトランプ大統領の選挙公約の一環だと説明。ホワイトハウスが医学研究からクリーンエネルギープログラムに至るあらゆる分野の大幅歳出削減を求める予算案を通じて、多くの省庁の規模抑制を目指していることも背景にある。

  しかし予算削減に加え、政府機構を改革する取り組みは議会の反発を招くことがほぼ確実だ。

  マルバニー局長によれば、トランプ政権は新たな政府運営のビジョンについて「白紙状態」でスタートし、アイデアを募るウェブサイトを設置したという。

  貿易に関する全ての分野を1つの省が統括する案や、規模の大きい省を幾つかの庁に分割するなどの案が出ているもようだ。マルバニー局長は例として、少なくとも13の省庁に計43種類もある技能研修プログラムを1つの部門の下にまとめる可能性を挙げた。現在、これを統括するポストは存在しない。

  こうした改革案は2019会計年度(18年10月-19年9月)予算に盛り込まれることになる。トランプ政権は今年9月から同予算案の取りまとめに着手する見込み。

原題:Trump Lays Groundwork for Widespread Government Reorganization(抜粋)

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トランプ大統領は12日、ホワイトハウスNATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長と会談しました。

この中で両氏は、シリアの内戦の解決や過激派組織IS=イスラミックステートの壊滅などに向けて、緊密に連携して取り組んでいく方針を確認しました。
また、両氏は、トランプ大統領が主張してきたように、NATOの加盟国は防衛費を増額すべきだという認識で一致しました。

会談後の共同記者会見で、トランプ大統領は「今、NATOはテロと闘っている。私はNATOは時代遅れだと言ってきたが、もはや時代遅れではない」と述べ、大統領選挙中の発言を修正し、NATOへの関与を約束しました。
これに対し、ストルテンベルグ事務総長は「アメリカの強力な関与を歓迎する」と応じました。
そのうえでストルテンベルグ事務総長は、ロシアへの対応について「われわれは新たな冷戦を望んでいない。ロシアとの対話のためには、われわれが結束することが必要だ。ロシアとうまくやっていく道を見いださなければならない」と指摘しました。

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アメリカのトランプ大統領は12日、ホワイトハウスNATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長と会談したあと、共同で記者会見に臨みました。

この中でトランプ大統領は、先週行われた米中首脳会談に言及し、「習近平国家主席と過ごした2日間は非常に興味深いものだった。われわれは気が合うと思う」と述べ、首脳どうしの関係構築ができたと強調しました。

そのうえで、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への対応について、「習主席は協力したがっていると思う。北朝鮮は非常に大きな問題であり、中国は厳しく取り組もうとしており、すでに始めてもいる。北朝鮮から中国へ輸出されるはずの石炭を乗せた船はすでに返されており、これは大きな一歩だ。中国はほかにも多くの措置も行うだろう」と述べました。

中国は、ことし2月に北朝鮮からの石炭の輸入を停止すると発表しており、トランプ大統領は、中国が北朝鮮に対する制裁を着実に実施し、圧力を強化することに期待を示した形です。

またシリアで化学兵器が使用されたと見られる問題をめぐり、国連安全保障理事会化学兵器の使用を非難する決議案が採決にかけられましたが、中国は今回、拒否権を行使せず、採決を棄権しました。
これについてトランプ大統領は、前日に行われた習主席との電話会談で話をしたと明らかにしたうえで、「棄権したことはすばらしい」と述べ、拒否権を行使しなかった中国の対応を評価しました。

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アメリカのトランプ大統領は12日、ホワイトハウスNATO北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長と会談したあと、共同で記者会見に臨みました。

この中でトランプ大統領は、モスクワで行われた米ロ外相会談について、予想以上にうまくいったという見解を示す一方、「ロシアとよい関係になればすばらしいことだが、今は全くうまくいっておらず、これまでで最低かもしれない」と述べて、米ロ両国の関係はかつてなく悪化しているという認識を示しました。

そのうえでプーチン大統領との関係については、「よい関係を築くことができるかもしれないが、全く反対のことになるかもしれない。私が言えることはすべての人とうまくやりたいと思っているということだ」と述べて、今後の米ロ関係はプーチン大統領の出方しだいだという考えを示唆しました。

一方、シリアのアサド大統領を「殺りく者だ」と強く非難したうえで、軍事施設への攻撃について「正しいことをしたことに何の疑いも抱いていない」と述べました。

さらにアサド政権が化学兵器を使用したと断定していることをめぐり「ロシアが知らなかったとは思いたいが、彼らはそこにいた」と述べ、ロシアが把握していた可能性があるとして、国防総省を中心に調査を進めていく考えを示しました。

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